空家、耕作放棄地、学校統合による廃校の増加は地方都市が抱える問題の一つだ。
働き方改革にコロナ禍が拍車をかけ、テレワークやワーケーションなどという言葉をよく耳にする。
県外からの集客も視野に、シェアオフィスとして、閉校した校舎を活用するという取り組みを訪ねてみた。
富山県中新川郡立山町の立山山麓の山のオフィス「KOTELO(コテロ)」は旧・芦峅小学校をリノベーションした山のオフィス。
足がないと周りに何もない僻地ではあるが、立山観光のルートに位置するため、観光バスが往来する。
まだ新しい、小さなこじんまりとした校舎がそのまま生かされているため、童心に戻れる空間だ。
一般開放はされていないようだが、株式会社山田写真製版所 「YPPポスター展 in KOTELO」の開催を機に、訪れることができた。
430点もあるポスター展示にスタッフからの印刷のこだわりの丁寧な解説、そして施設自体の見学と盛りだくさんの時間。建物には展望台もあり、生憎の曇り空だったが、展望台からの立山連峰の見取り図があったので、天気に恵まれれば、山々が見渡せそうだ。
一方、神通峡の富山県富山市(旧・大沢野町)にある古い木造校舎の旧・小羽小学校は地域活性化を掲げた「NPO法人こばに」より委託運営されている。
レンタルスペースに留まらず、会員となっていただき、一緒に盛り上げ、会員の団体、企業同士の横のつながりも大事にしようという試みだ。
教育現場でIT事業を行う「LX DESIGN」が複合先生特別授業ワークショップの教室を設けたり、ハンドメイドのショップや蕎麦打ち団体の教室、里山カフェや文化祭、運動会といった地域を巻き込むイベントも定期的に行わる。
1991年から始まった「トリエンナーレ・神通峡美術展」を受け継いだ、富山市美術展・インスタレーション部門(富山市の美術展だが公募範囲は富山県、石川県、福井県、新潟県、長野県、岐阜県、三重県、愛知県、静岡県)の開催会場ともなり、岐阜県境ということもあり、地域は勿論、県外からも集客し、まさに地域の活性化が行われている。
使われなくなった古い建物の再利用というニュースは耳にするが、どういうふうに施設が生かされているのか興味はあったものの、訪問する機会が中々なかった。
カフェやイベントが取り入れてあると、誰もが気軽に立ち寄れる。
古い建物を大切にし、再利用するアイディアを垣間見れ、SDGs(持続可能な開発目標)にも繋がるのではないだろうか。
山のオフィス「KOTELO(コテロ)」
〒930-1406 富山県中新川郡立山町芦峅寺8
利用時間 10:00~18:00
土日祝休業
https://www.sanagi.net/
NPO法人こば
富山市小羽279 旧小羽小学校内
https://small.gr.jp/